「それじゃそのガリガリの一件から世界のマン丸いわけが、わかったてえお話を冒頭(まくら)からやって見やすかね・・・」
青空文庫より『人間腸詰』(夢野久作)を朗読しました。
夢野久作は怪奇幻想小説で有名ですが、文体に書簡形式や独白形式をよく用いることでも知られています。
今回はこの独白形式を使って、江戸っ子大工が雇われた旦那夫妻にせがまれて事の次第を話しだす、という体をとっています。
軽快な語り口で、話があっちへ飛びこっちへ飛びしているうちにコチラも引き込まれていき、気がついたらすっかり話の虜になってしまいます。
しかも、そうしてあちこちへ飛んだ話の小ネタがうまく物語の本筋に組み込まれていて、物語全体に不思議な説得力を持たせています。
このあたりは流石偉大な作家と呼ぶべきですね。
こうした、一見ムダ話のようでいて実は重要なキーワードを紛れさせておく、なんていうのが大好きなのでこの話も以前初めて読んだときはとても感心したものですが、果たしてその感動をお届けできたでしょうか・・・
この江戸っ子のハル吉親方のように人を惹きつけて楽しませるような話し方ができるようになりたいものです。
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